プロフィール

2039年

 

  2039年、私は今年で80歳になった。さすがにもうこの年になると、耳は遠くなるし、目も少し白内障気味となっている。そして、夜中に1回は起きてトイレに行っているが、それ以外には特に気になるような持病もなく。薬を常用することもない。
背筋だって曲がってはいないし、歩き方もまだまだしっかりしたものである。ちょっと、自慢しちゃったかな、ガハハハハ…。
細々とではあるが、自分で仕事をし「細く長く」という状態を続けてきたので、現在も週5日、朝10時から夕方の6時までは仕事をしている。毎月の収入は手取りで17万円程度であるが、一人で生活していくには困らない額だ。
  もちろんこの年まで仕事を続けるにはそれなりに努力はしてきたつもりである。 まず、健康でないと仕事は続けられないので、フィットネスクラブ通いは今でも続けている。また、同じ仕事を続けてきてもそれなりに新しい知識は付けていかなければならないので、もともと質の悪い脳みそであるが、筋肉の細胞だけでなくそれなりに脳の神経細胞も活性化させてきたつもりだ。体を動かすことよりはかなり苦労したが…。
結局は、脳も筋肉も同じである。刺激を与えていかなければ衰えていく一方で、ほとんどの人がそれを「もう年だから」と諦めてしまっている。それを「年だからこそ鍛えるのだ!」と言い続け実践してきたことが、少なからず実を結んでいることはうれしい限りである。
同年代の友人は「年金だけでは最低限の生活をするのがやっと、どこにも外出できないのでテレビが娯楽じゃ。」とか「ヘルパーさんに週3日来てもらっているが、愛想が悪くて…。」などと愚痴っているが、私は「働けるまで働き、まだまだヘルパーさんの力は借りないぞ!」とまだまだ気負う力も残っているようだ。
さて、私が最初にホームページを立ち上げた2008年度であるが、消費税はまだ5%であったが、それから30年の歳月が過ぎ現在は15%になっている。
私はそれなりの年なので若い人ほど購買意欲はないが、独身の若い人や小さな子供がいる家庭は大変である。
そして、「消費税20%の導入」も検討されているくらいだから、この先、一体どうなってしまうのだろうか。ヤレヤレである。
これはちょっと自慢話かもしれないが、実は、私は80歳のこの年で年金はまだ受け取っていないのである。年金の受給年齢や受給額はそのときどきでいろいろと議論を醸し出し、すったもんだあった。
そして、2年前からは「80歳以上で月々15万円以上の安定した所得を有する者を高所得高齢者とみなし年金受給の対象とはせず」ということでまだ年金にはお世話になっていないのだ。
若い時代からビンボー人で「ビンボーは楽しい!」などとちょっと粋がっていたが、この私がなんと「高所得者」なのである。いやー、時代の移り変わりは本当に激しいいものである。
「今まで払うものは払ってきたのにけしからんじゃないか!」などと言うつもりは毛頭ない。「年金なんか将来どうなるかわからんぞ。とにかく働けるまでは働いていこう。」と頑張ってきた結果が今の私なのだ。
  だから年金に頼らず月々の生活費を稼いでる自分をほめてやりたいぐらいである。できるだけこの状態を維持していきたいものだ。
さて、普段の生活であるが、6時には仕事を終えることにしている。そして、軽く空腹を満たすと、デイパックにシューズやタンクトップなどのトレーニング用のウエアと着替えを詰め込んで、自転車でフィットネスクラブに通うという同じような生活を、もうかれこれ40年以上も続けている。
さすがにこの年になると40代、50代の若いときほど激しくトレーニングはできないが、今でもスタジオレッスンは、筋久力系や格闘技系、そしてヨガなどを中心に楽しんでいるし、マシンを使って筋肉に違った刺激を与えることも怠ってはいない。
私が通っているフィットネスクラブでも、会員の半分は60代以上である。よって5年くらい前からシニアプログラム専用のスタジオなども設けられて、既存のシニア会員への満足度のアップと新規獲得に力を入れているみたいだが、個人的にはまだ一度も利用したことがない。
また、昨今ではシニア専用のフィットネスクラブも多くできていて、先日も営業の電話がかかってきた。
「当クラブはシニア専用のフィットネスクラブでして、マシンはシニア向けに開発された最新のものを設置し、スタジオのプログラムも全てシニアの体力に合わせたものをご用意させていただいております。館全体の雰囲気も落ち着いておりまして、若い子が好むようなちょっと耳障りな音楽など一切流しておりません。
そして、何よりもお客様の体調のことを考慮し、医師が常駐しております。また、万が一のことを考えまして、○○病院とも提携しております。」との内容でシニア層には至れり尽くせりのようであったが、「会費を先月1年一括で支払ってしまったので…」と丁重にお断りした。
内心は「バーカ、そんなジジイやババアばっかのところでやってられっか!若い子のお尻などを見ながらやるのも健康を保つ秘訣なのじゃ!」というのが本音で、まだまだ30%くらいは「エロジジイ」化する元気があるのである。
「シニア専用のフィットネスクラブ」であればなおさらだが、私が利用しているような専用としていないところでも、その層を獲得しないと経営的にはとても成り立たないようである。
その反面、シニア層が多いと体調を崩す人が多いのも事実で、私のクラブでも去年からは「お客様のより安全なフィットネスライフ」ということで、それぞれの顧客の体調をリアルタイムで管理するシステムが導入されている。
それはブレスレッドのように腕に巻きつける機器なのだが、金属ではなく化学繊維でできた幅2pほどの布製のもので、時計のように液晶のモニターが付いていて、心拍数、血圧などをリアルタイムで表示し、異常な数値を示すとその脇のLEDのライトが点滅し、小型のスピーカーからその程度に合わせて警報ブザーが発せられる。
当然、それらの情報は自動的に電波でオフィスやトレーナーが待機するカウンターのコンピューターに送られる。
  ついつい面倒臭くなってつけないこともあるのだが、その場合もパソコンですぐに確認ができるので、「ちゃんとつけてくださいね!」などとスタッフに注意されてしまう始末。
「はい、はい」と表面上は素直に返事をするのだが、内心は「ちぇっ、面倒くさいな!」などというように、基本的には「ちょい悪ジジイ」なのである。
まあ、文句ばかり言っていても仕方がない。この歳でこうやってみんなと一緒に気持ち良く汗を流せるのは、自分の頑張りももちろん大きいが、クラブのスタッフやインストラクターをはじめ、普段、直接は話す機会は少ないが、事務関係の人や施設のメンテナンスをしてくれる人がいるからこそである。決められたルールは守っていかなければならない。
「できるだけ長くフィットネスライフをたのしみたいし…。」と珍しくちょっと素直になったジジイがいるのである。