四方山話
        

台湾フィットネス紀行/四方山話




空港から宿へ

 何の問題もなく入国の手続きを済ませ、両替をしてから市内に向かうバス乗り場まで向かった。
バス会社ごとにチケット売り場のブースがあったが、宿泊予定の宿から送られてきたメールには、宿の住所、空港からの行き方、利用するバスの名前が書いてあり、プリントアウトして携帯しておいたので、どのバスに乗ったらよいかは迷うことはなかった。
印字された宿の最寄り駅である「雙連駅」という文字を指差し、販売員に見せると135元とのこと。1枚購入し、バス停に向かうと20分ほどでバスがやってきた。
いわゆる観光バスの形式なので、大きな荷物は車体の下部に納め、手荷物のデイパックだけを持って乗り込み、適当な席に腰を下ろした。
 バスは空港の敷地を出るとすぐに高速道路に入った。夜なので周りの景色ははっきりとは確認できないが、道路の左右には大きな建物はなく、小高い丘のようなものがあるようで、そのはるか向こうにぽつんぽつんと建物から漏れてくる明かりを確認することができた。
20分も走っただろうか、大きな川を越えたかと思うと、左右のビルや交通量の増加から一見して台北の市内に入ったということが分かった。そして、バスは停留所ごとに停車し乗客を降ろすのであるが、そのたびに運転手も下車をして乗客の荷物を取り出しているのである。
また、場合によってはバス停から普通のバスのように乗り込んでくる人もいる。この辺が今まで利用したエアポートバスとは違うところである。
何回かそういう光景を見ていて少し不安になってきた。今までバンコク、クアラルンプール、ソウルで利用した空港から市内に向かうバスの場合は、運転手が全て乗客の目的地をチェックしていたが、このバスの運転手は全くそのようなことはしていない。これはいわゆる普通の路線バスのようである。
バス停ごとに運転手がその名前をアナウンスするがほとんど聞き取ることができないし、バスが止まるたびに「ここはどこだろう?」ときょろきょろしてみるが、バス停の名前が確認できないケースがほとんど。
それに私が目指している雙連駅というのはMRTという地下鉄なので、バスからではそこが駅だということが分からないであろう。夜ではなおさらである。
仕方がないので、あるバス停で停車して運転手が例によって乗客の荷物を出しているときに、例のメールをプリントアウトした紙に書いてある「雙連駅」という文字を指差し「ここに行きたいのだけど…。」と英語で言うと、首を横に振って「プー▲○★■!」という中国語が返ってきた。
旅行前に「簡単な中国語」というCD付の会話の本を購入して何回となく聞いたのだが、ほとんど頭の中に入っていない。しかし、この「プー」の意味だけは理解ができた。
  「プー」とは漢字で「不」で、英語で言うnotである。つまり「否定」しているのである。この場合は「プー」の次の言葉が聞き取れなくても、どう考えても「行かない」ということになる。
おまけに「ここで荷物を降ろせ!」というジェスチャーをして、タクシーを指差しているではないか。どこでどう間違えたか分からないが、そんなこと考えている暇はない。
仕方がないので、荷物を降ろしすぐ後ろに停車していたタクシーに乗り込んだ。
タクシーの運転手には宿のちゃんとした住所を見せると、20分ほどで「このビルがそうだ!」と雑居ビルの前で降ろされたのである。
しかし、ここからが大変であった。


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