四方山話

     

インドシナ半島フィットネス紀行/日記 - タイフィットネス紀行/日記

 

 

タニヤ


 

 タニヤもバンコクを代表する歓楽街だが、他のナナプラザやすぐ横にあるパッポンとはその様相をかなり異にする。他の歓楽街は、「The Worlds Largest Adult Playground」でも記しているが、ベトナム戦争時の米軍の慰安所の延長線上にあるのに対して、タニヤはバンコクに日本の企業が進出し現地に在住する日本人の数が増えるにしたがって、「日本人向けのくつろげる場所を…」というのが発端でできたようだ。「Bangkok Club」では以下のような説明文が見受けられる。

「 元々は、タニヤどころかパッポン通りも小さな運河や民家の立ち並ぶ田舎だったそうですが、1960年代のベトナム戦争の激化により、休暇に来た米軍兵士を目当てにしたゴーゴーバーが登場してから、急速に発展していきます。パッポン通りが栄えるにしたがって、日本人駐在員向けのクラブもでき始めます。そうしたなかに、今もタニヤにある老舗の「クラブ愛」などがあったのです。

 一方、タニヤ通りには1970年に現在のBTSサラデーン駅付近(もちろん、当時はBTSはありません。)にタニヤビルディングが建設されます。これは住友不動産が手掛けたオフィスビルで、多くの日本企業がここに入居しました。

 ここで働く日本人駐在員たちが夜遊びに繰り出したり、日本からきた重役や商談相手の接待をする飲み屋街としてタニヤ通りが発達し始めたのです。」

 まあ、私も同様だが、「あのアメリカ人が好むようなゴーゴーバーでは落ち着かない!」という日本人が多かったに違いない。最初は銀座にあるようなクラブ(行ったことがないので良く分からないが…)のような形式の飲み屋だったようだが、同サイトでは以下のように説明も見られる。

「80年代にできた映像型カラオケ機械の普及です。タニヤの各クラブに一気にカラオケ機器が導入され、いつしか日本人向けのクラブのことを「カラオケ」というようになりました。高級クラブ一辺倒だった店がパブやキャバクラのテイストを取り入れるようになったのです。これには、セット料金の導入も一役買いました。」

 カラオケやセット料金などの導入で一気に敷居が低くなったようだ。私個人のイメージとしては「タニヤ=カラオケ」だが、まあ、中にはカラオケを導入していない高級志向のところもあるのかもしれない。おそらく、そういうところは少数派だと思われる。

 さて、私がタニヤに初めて行ったのは、私がバンコクに初めて訪れた1989年のこと。その時は日本がまだバブル経済の時代で、日本でもそうだったように、ここバンコクのタニヤでも飲み屋街は大変賑わっていた。私は、「あとは帰国のみ」という旅の最後だったので、毎晩のようにネオン街に出かけていた。どのお店も非常に繁盛していた。

 それから12年後に、再びバンコクを訪れる機会があったのでタニアを再訪したが、もうその時にはバブル経済もはじけて久しく、私が最初の訪れたときに賑やかさは全くなかった。「以前訪れたお店はどうなっているだろう?」と思い「juju」というお店に行ってみたのだが、働く女性の数も激減してレディーボーイなどもいたりして「いや〜、変わっちゃったな〜」というのが正直なところであった。

 そして、その時、特に「変わったな〜」と印象に残っていることが1つあった。バブルの時期であれば黙っていてもお客さんが入ってくるような状況だったが、さすがにバブルがはじけてからはそんな余裕はなくなってしまった。よって、店で働く女性たちは夜になると「少しでも多くのお客さんに来てもらわないと…」ということで、一斉に外に出て「いらっしゃいませ!」と呼び込みをすることであった。

 それも、バラバラとやるのではなく、通りの歩道をきらびやかな服をきた女性が埋め尽くしあっちこっちで1店舗の女性が声をそろえて道行く日本人に「いらっしゃいませ!」と声をかけていた。小心者の私からすれば、とてもではないがそんな通りは恥ずかしくて歩くことが出ない。よって、いつもちょっと手前のところで、コンビニで買ったビールを飲みながら彼女たちの様子を見ていた。

 それから15年して、今回バンコクを訪問したわけだが、相変わらず通りにはタニヤで働く女の子の姿が見られたが、以前のように一斉に道行く人に掛け声をかけるようなことはなくなっていた。その代わり、お店を代表する客引きが道行く人に「カラオケ安いですよ!」とか「きれいな子がいっぱいいますよ!」と声をかけていた。

 そして、声をかけられた人がちょっと興味ありげに立ち止まると、後ろの方で待機しているお店の女の子たちを「はい、はい、みんな集まって!」と呼んでお客さんに顔見世をして「どうですか。気に入った子がいますか?」というシステムに変更になっていた。

 以前なら、そのようなことは来店してから行うことなのだが、それを路上でやってしまっているので「いろいろとお店側も変わっていかないと大変なんだな〜」とつくづく思った次第である。

 

・ タニヤ通りからスカイトレイン(BTS)のサラデーンを見て

 昼のタニヤの写真を撮ってもまったくカラオケ街の雰囲気は伝わってこない。夜にはきらびやかなネオン街となる。

・ 上の写真の反対側を撮ったもの

 日本語を用いたビルの看板があっちこっちに見られる。