四方山話

インドシナ半島フィットネス紀行/日記 - タイフィットネス紀行/日記

 

 

居酒屋 : 花 子( 久し振りの訪問 )


 

 居酒屋「花子」は今回の旅で是非訪れたいと思っていたころの1つであった。前回のバンコク訪問が10年前のことなので、必然的に居酒屋「花子」も10年ぶりとなる。この10年の間にバンコクにもかなり居酒屋は増えたようなので、居酒屋に行くことが目的であれば特に花子である必要はないのだが、私は10年前に訪れたときのスタッフがどれくらい残っているのか少し確かめてみたかった。

 それで、15年前に初めて「花子」を訪れたときに、当時のスタッフと一緒に何枚か写真を撮っていて、この度に出発する前にノート型PCのデスクトップに「花子」というフォルダーを作成していて、それらの写真をフォルダーに収めている。よって、PCをデイパックに入れて、「花子」の最寄り駅であるスカイトレイン(BTS)のアソークに行くために宿の最寄り駅であるスラサックに向かった。

 まず、アソークについて驚いたのが、駅前に「ターミナル21」という大きな商業ビルができていたことである。「へ〜、こんな大きなビルができたんだ!」とターミナル21を横目で見ながら、「確かこっちの方だと思ったが…」と100%確信が持てない「花子」への行き方でスクンビット通りを西に進み、脇道であるソイ・スクンヴィット19まで来ると「そうそう、こっちこっち!」とやっと確信が持てるようになった。

 さて、久し振りに暖簾をくぐって店内に入ったわけだが、まあ、当然と言えば当然かもしれないが、基本的な内部の作りは特に変わりはなかった。一人であったため、以前訪れたときもそうだったように、カウンターの席に案内された。そして、「飲み物は?」と聞かれたのに、これも以前もそうだったように、シンハービールを注文し、手渡されたメニューを「どれどれ…」と思いながら繰った。

 まあ、私の場合、花子に来たら、まずは握り寿司のセットとほぼ決まっている。2種類あって、いつも安い方を注文していた。よって、この時も同じように安い方のセットを注文したわけである。ちょっと、値段の方はうる覚えなのだが、確か350バーツくらいはしたのではないだろうか。日本円にしたら約1,120円となる。

 出された寿司をつまみながらビールをちびりちびりとやりながら、「誰か知っている人はいないかな〜」とまわりをキョロキョロと見たのだが、見覚えのあるスタッフはいなかった。「もうみんな辞めちゃったのかな〜」と思いながら、すぐ横に立っていた40代半ばくらいと思われる女性のスタッフにちょっと話しかけてみた。ベテランのスタッフは、お客の多くは日本人のため、片言の日本語なら理解できる。

    私:「前にも来たことがあって…」

 スタッフ:「いつですか?」

    私:「10年前です。」

 スタッフ:「そうですか?」

    私:「花子でどれくらい働いていますか?」

 スタッフ;「15年くらい前から働いています。」

    私:「そうですか。それで、15年前に撮った写真があって…」

 と言って、私は足元に置いたデイパックからPCを取り出して、デスクトップ上にある「花子」というフォルダーをクリックして、当時撮った写真をその女性に見せてみた。すると…。

 スタッフ:「あ〜、これ○○ちゃん、もう辞めた。そして、これは△△ちゃん、この子はまだいる。この板前は××、これは、ほら、目の前にいる人!」

 板前の××は、当時、一番よく話した人の一人であった。、カウンターの中では4人くらいの板前さんが寿司を握ったり料理を作ったりしていたのだが、私は「目の前にいる」と言われてもピンと来なく「えっ、どの人?」という感じできょとんとしていると、「ほら、この人」と上下白の割烹着を着ている男性を指さした。私は、最初彼を見て、当時と比べるとものすごく痩せこけ老けてしまったので全く分からなかった。彼も私を見て「なんか、どこかで見たような感じだと思っていたんですよ」と言ってくれた。

 一通り見終わるころには、「昔のお客さんが写真を持って来店している」というのが伝わったのか、写真に写っていて別のところで作業をしていた女性が私のところに「お久しぶりで〜す」という感じで来てくれた。やはり15年という期間は長い、みんな「まだ若い」と言われる世代から「そろそろ中年」と呼ばれる世代になっていたので、かなり変わっていた。いずれにしても、写真で盛り上がったのでよかったと思っている。

 私は、その激変した板前さんに「ママさんはどうしているの?」と聞くと、「ママさんですか?ママさんは、今は店にはいなくて、え〜と、ちょっと日本語で何て言ったらよいのか分からないのですが…」と言いながら、彼は、よく瞑想するときに左右の手の指を上下に重ねて親指の先同士をつっくける手の形を作ったのだが、私もそれが何を意味するのかよく分からなかったのでそれ以上は聞かなかった。しかし、他の人からの話も合わせていくと、どうも出家したようである。その理由はよく分からないが、いろいろとあったのだろう。商売自体は繁盛しているようだが…。

 さて、今回、「花子」を訪れたのは1回だけになる。理由は、まあ、第一の目的である、写真に写っているスタッフが現在も働いているかどうかは最初の1回の訪問でほぼ確認ができたため。あとは、「花子」って、なんやかんやお金がかかる居酒屋となっている。

 全く初めて来店する客にはそのようなことはないと思うのだが、何回か通って多少顔見知りになったりすると、向こうも売り上げを上げようと「板前さんにビールをご馳走しませんか?」とか「女の子たちが少し飲みたがっているのですが?」と言われてビールをご馳走したりするのだが、そういうのが積み重なるとけっこうの勘定になったりする。

 もちろん断わってもよいのだろうが、私などは小心者がゆえに「どうぞ、どうぞ」となってしまうのが常である。よって、お勘定をするときに「なんでこんなかかるのだろう?」ということが何回かあった。この日も、料理としては寿司のセットともう1、2品注文しただけなのだが、結局、1,500バーツ(日本円で約4,800円)ほど支払い、1泊の宿泊料よりもかかってしまった。 それが積み重なるとやはり出費は大きい。

 

・ 15年前に撮った写真

 板前さんも2人ほど辞めずに働いていた。

 女の子も3人くらいはそのまま働いていたようである。