四方山話

     

インドシナ半島フィットネス紀行/日記 - タイフィットネス紀行/日記

 

 

ミナト理容室


 

 髪もかなり伸びてきたので切ってもらいに行ってきた。バンコクでは過去に何回か髪を切ってもらっていて、そのほとんど地元の人が行くような理髪店を利用していた。10年前に訪れたときは、ちょっとスカイトレイン(BTS)のアソークの駅だったのかどうかは記憶も定かでないのだが、駅の改札を出たところにあったのでそこを利用したのだが、どうもその店舗はなくなっているようだった。

 まあ、街中を歩いていればときどき目にするのだが、「ちょっと日本式のところでやってもらうか」ということになり、ネットで調べてみると、宿から歩いて行ける距離に「ミナト理容室」という理髪店があったので早速出かけてみた。

 店の扉を開けると「いらっしゃいませ」という日本語が聞こえてきた。あいにく満席だったため待合室で待つように指示をされた。待合室にある棚にはかなりの数の日本のマンガが置いてあった。正直なところ、マンガには特に興味もなかったが、1冊適当なものを手に取り(もう題名は忘れてしまった)ページを適当に繰りながら従業員が作業をしているところをチラチラと見ていた。

 働いている人は、全員タイ人の女性のようで、3人は実際にお客さんの髪を切っていて、もう一人はバックグラウンドで作業をしていた。それから、15分もしただろうか、1人のお客さんの理髪が終わり店を出ると、1分もしないうちに「どうぞ」と理髪席に通された。

 「ミナト理容室」という店名からも想像ができるように、お客のほとんどは日本人に違いない。事実、私が訪れたときのお客さんは全員日本人のようだった。従業員のタイ人の女性も、「横は耳にかからないくらい」とか「刈り上げにしないように」などの理髪に関する日本語は全て理解できるので、こちらの希望を伝えるのは日本の理髪店と全く変わりはなかった。

 私が髪を切ってもらっているときに、おそらくご主人と思われる日本人の人が現れた。70歳は過ぎていると思われる大柄の白髪の男性であった。店名から「ミナトさんなのかな?」と思ったが、どうも苗字は「平野」さんのようで、若輩者の私がこのようなことを言うのも失礼かもしれないが、なかなか波乱万丈の人生を送っているようである。

 ウェブサイト「タイ自由ランド」の「店主物語」で以下のように紹介されている。※以下は要約文

・ 理容学校を卒業後、帝国ホテル内の理髪店に就職。(超高級店で、1970年当時で12,000円の散髪料)

・ 実力を身に付け、英語などの語学力も習得し主任になる。(帝国ホテルなので外国人のお客さんも多かった)

・ 40歳になったとき、オータニホテルから「シンガポールで日本人の理髪業者を捜している」という話をもらう。

・ シンガポールのホテル内に「ミナト理容室」を出店。

・ オープン当初から日本人のビジネスマンが押し掛け、順調な滑り出しとなる。

・ 6年目に「日本人の理容師が、店で客の髪を切ることは違法」という理由で、当局に連行される。

・ 日本に戻ろうとしたところ、「タイに出店してはどうか?」と誘いを受け、出店を決意。

・ タイでも違法性を指摘されたが、現地の女性と結婚したり永住権を得たりして、何とか同じ二の舞は回避する。

・ リピーターも増え、その後、商売は順調に進み現在にいたっている。

 さて、私の方は、カット、シャービング、そしてシャンプーと進み、最後に「何かつけますか?」と言われたので、「じゃあ、ジェルをちょっとつけて整えてください」と返答をした。料金は440バーツなので、日本円で約1,400円ちょっととなる。国内では、しばらく安いカット専門店に行っていたので「まあ、たまにはいいな〜」と思った次第である。