四方山話

     

インドシナ半島フィットネス紀行/日記 - ベトナムフィットネス紀行/日記

 

 

ベトナム、 カオス的交通事情 ( その2 )


  

確実にパワーアップしている

ベトナムには交通ルールがないのか?!

すべて「プップップー」

とにかく突っ込む

他のサイトからの引用文

 

■ 確実にパワーアップしている ■

 今回、15年ぶりにホーチミンを訪問して思ったのは、「前回来たときよりも交通量は確実に増えているな〜」ということである。経済成長に伴って人々の収入は増え、当然のようにバイクの所有率は上がってきている。

 そこでちょっと調べてみると、「ベトジョー・ベトナムニュース」というサイトで以下のような解説文を見つけた。

「米シンクタンクのピュー研究所が2014年に実施した自動車・自転車・バイクの保有に関する調査結果によると、ベトナムでバイクを保有する世帯の比率は86%に上り、世界44か国・地域中でタイに次ぐ2位にランクインした。日本は21%で17位だった。」

 また、同サイトには「バイク保有世帯比率」のトップ10が掲載されている。

順 位
国 名
保有率
順 位
国 名
保有率
1位
タイ
87%
6位
インド
47%
2位
ベトナム
86%
7位
パキスタン
43%
3位
インドネシア
85%
8位
ナイジェリア
35%
4位
マレーシア
83%
9位
フィリピン
32%
5位
中国
60%
10位
ブラジル
29%

 なお、国家交通安全委員会によると、2016年5月15日時点でのベトナム全国の車両登録台数は、自動車が281万1683台、バイクが4539万7679台となっている。ベトナムの人口が約9,264万人になるので、およそ2人に1台の保有率となる。

 ちょっと、上記の表を見て「あれっ、台湾が入っていない!」と思った人は多いのではないかと思う。私もその一人である。そこで再び調べてみた。2012年末時点での統計なので少し古いデータとはなってしまうが…。※参照はPDF「スクーター天国

 「日本自動車工業会(JAMA)の集計データによれば、台湾国民の二輪車保有台数は1,513万9,628 台(2012 年)。2012 年末時点での台湾の総人口は約 2,332 万人(中華民国外交部)だから、人口 1.5 人に 1 台という驚異の保有率。(途中省略)世界的にもダントツでトップのバイク大国なのです。」

 台湾の人口は2016年で2352万人で、ベトナムの人口(6294万人)と比べると約1/4に近い。よって、全体的なバイクの所有台数はベトナムの約1/3となっている。しかし、人口当たりに占めるバイクの所有比率が高いということは、当然、世帯当たりの所有台数も高くなると思うのだが、上の表に台湾の名前が見られない理由は分からない。

 

■ ベトナムには交通ルールがないのか?! ■

 もちろん、「交通ルールがない」というのはあり得ないわけで、車やバイクを運転する場合、交通ルールに従って運転しているはずである。しかし、交通ルールが厳しい?環境にいる我々日本人からすると「交通ルールなんてあるのだろうか?」と思ってしまうような一面も持ち合わせているのも事実かもしれない。

 ベトナムの交通事情に関する記事やブログを読んでいると「ルールなんかあってないようなもの」とか「無秩序」などという言葉を目にするが、同意せざるを得ない部分はかなりある。特に今回の訪問でオートバイの運転を見ていて以下のことが気になった。

【 歩道も走行可 】

 歩道も車道と同じようにオートバイが走っているわけではないが、渋滞時、信号で多くのバイクや自動車が信号待ちをしていると、「いちいち信号に従ってられね〜」という感じで、歩道を走って信号までたどり着き、赤にもかかわらずそのまま右折してしまう運転手は多い。

 そのような時、歩道を歩いている歩行者としては、「ぶつかってくるんじゃないだろうな」と常に後ろを注意しながら歩かなければならない。

【 逆走も控えめなら許される? 】

 ベトナムは日本とは反対の右側通行である。よって、バイクも自動車も道路の右車線を通行しなければならないのだが、ときどき逆走しているバイクを見かけることがある。もちろん、道路の真ん中をどうどうと走るようなことはないが、端を控えめに走っている。

 日本なら「お前、なに逆走してんだよ!危ないじゃないかっ!」となるところだろうが、そのようにとがめる人は誰もいない。

 

■ すべて「プップップー」■
 街中を歩いていると、バイクのエンジン音や排気音はやはり耳障りなものである。そして、それらと敗けず劣らず耳障りなのが、クラクションやホーンの音になる。「ベトナム人はクラクションやホーンを鳴らしてコミュニケーションを取っている」と言っても過言ではないほどあっちこっちから聞こえてくる。

 「そんなに急に進路変更したら危ないじゃないか!」と注意する時にプップップー、「ちょっと道を空けてください」とお願いする時もプップップー、そして「ありがとう」とお礼を言う時でさえプップップーなのである。もちろん、現地の人たちはどの「プップップー」なのか瞬時に理解ができる。


■ とにかく突っ込む ■

 ベトナムでは、交通量が多い大きな交差点では信号機があることもあるが、通常の交差点では信号機がないことの方がほとんどのような気がする。もちろん日本でも、すべての交差点に信号機が付いているわけではないだろう。ただ、その場合、優先道路とそうでない道路の区別がだいたいついているので、優先道路じゃない道路から優先道路に入る場合は「一時停止」の指示がされているはずである。ただ、ベトナムではその限りではない。

 たとえば、今、日本で信号のない交差点を右折するために停まっているとしよう。当然ながら前方から直進して来る車両がある場合は、その車両が通り過ぎてから右折することになる。そうでなければ、直進してくる車両と衝突する可能性があり、とても危険である。(実際に、交差点での事故の大きな原因となっている)

 でも、ベトナムではそのようなことはしない。理由はいたって簡単で「前方から来る車やバイクが途切れることがないから」である。つまり、そんなことをしたらいつまで経っても右折できないことを意味する。よって、前方から車やバイクが来ていても、とにかまずは突っ込んでみるのである。

 もちろん、右折しようとする車両を避けてそのまま直進するものもあるが、中には「仕方がないな〜」という感じでスピードを落とす車両もあり、少しずつ優先権が右折しようとする車に移っていく。そして、少し時間がかかっても最終的には右折することができる。今回の旅では、タクシーに乗っているときに「そんなに前から来ているのに突っ込んで大丈夫なのか?!」と思うことが何回もあった。

■ 他のサイトからの引用文 ■

 少しランダムな形にはなってしまうが、ベトナムの交通事故に関する他のサイトからの引用文をご紹介したい。

 「若い世代の交通事故死が後を絶ちません。ホーチミンの統計ですが、交通事故死者の70%が高校生です。しかも電気バイクや電動自転車の運転中。電気という敷居の低さが、若年層を危険なベトナムの公道へどんどん向かわせています。」(VET JO「ベトナムニュース」2016年6月2日配信分

「去年、1台のトレーラーが若い女性を轢いてしまい、女性が近くの人に助けを求めているのに、運転手は彼女の上をトレーラーでわざと往復し死なせてしまった。その彼に禁固8年の判決が出たというニュース。前にも聞いたことがあるんだけど、被害者を障害者として生かし一生面倒を看るよりも、死なせてしまったほうが負担が少ないという保身オンリーの理由で、故意に何度も轢いて殺してしまうらしい。そんな冷酷非道な殺人が禁固8年で、心中未遂が14年の禁固(←今日のニュース)って、めちゃくちゃおかしいこの国の法律(怒)」(ブログ「癒しのたれ耳」)

 2015年度の数字になるが、ベトナム国内で起きた交通事故による死者数は8,671人で前年比3.61%減となる。それに対して日本は4,113人でベトナムの半分以下となっている。(統計の取り方などの違いもあるだろうから、一概に数字だけでは比較できない可能性もありうる)もちろん、「半分だからOK」と言えるようなものではない。

 日本で最も交通事故による死者数が多い年は1970年代前後で、毎年、16,000人前後の人が交通事故によって命を落としていた。その後、減少に転じ1980年には1万人前後までになった。ただ、1990年代前半に再び増加傾向になったものの、それ以降は年を追うごとに減少傾向に転じ、2016年には4,000人を下回るまでになったのである。(※参考:「交通事故死者数の推移

 ぜひ、ベトナムにも日本の経験を学んでもらいたいと思う。もちろん、日本で事故を減らすために取った対策が、全てそのままベトナムに生かせるものではないのかもしれないが、きっと参考になるものはあるはずである。ベトナムに限ったことではないが、特にこれからの将来を楽しみにしているだろうと思われる若い子が交通事故で命を落としてしまうのは残念でならない。