四方山話

     

インドシナ半島フィットネス紀行/日記 - ベトナムフィットネス紀行/日記

 

 

難儀しました、卓球場探し!( その3 )


 

やっとたどり着いた

異国の地での初卓球

申し訳ないとは思ったが…

 

■ やっとたどり着いた ■

 卓球用品の販売店で、いくつかの卓球場の住所を書いてもらったメモを持って宿に戻ったのだが、「このメモを頼りに自力で探すのは難しいだろうな〜」と思ったのも事実である。そこで、宿の受付嬢にヘルプをお願いし、最も近いと思われる卓球場に電話をしてもらった。

 電話はすぐにつながり受付嬢が何やら話していて、もちろんその会話の内容はベトナム語のため全く理解できないのだが、まあ、想像するに「うちのホテルに泊まってるお客さんが卓球をしたいと言っているのだけど 大丈夫ですか?」くらいの内容のはずである。一瞬、受話器を置いたかと思うと、私に「何日くらいしますか?」と聞いてきたので「1週間くらいはやりたいのだけど…」と伝えると、すぐに電話を切った。そして、「大丈夫なので、この住所に行ってください」と言われた次第である。

 私は「この住所って言われても…」と少し 困ったように答えると「タクシーで行けば大丈夫よ」と言われたので、ラケットをデイパックに入れてタクシーを拾うために通りまで出た。タクシーはすぐにつかまり運転手に住所が書いてあるメモ用紙を見せ「ここに行ってほしい」と伝えると、その運転手はメモの住所を見たとたんに「こんなの、すぐそこじゃん。ダメダメ!」というような感じのジェスチャーで拒否されてしまった。私は、「もう1台タクシーを拾って聞いてみるか」という気にはなれず、「仕方がない…」という感じで歩いて探すことにした。

 途中3人ほど人に聞き「かなり近づいていると思うのだけど…」とキョロキョロしていると、1台のスクーターが近づいてきた。何やら英語で話しかけられたと思ったのだが、よく聞き取れず「OK,OK」と適当に返事をしてあまり相手にしなかった。というのも、街中を歩いていると、しょっちゅう「乗っていくか?」とバイクには声をかけられるのでてっきり同類かと思っていたわけである。

 私が歩みを続けていると、再び近づいてくるので「なんかしつこいな〜」と思っていると、今度は「table tennis?」と話しかけてきたのである。私が「Yes」とうなずくと「後ろに乗って」と言ってきたので、迷わずスクーターの後部座席に腰を下ろした。つまり、彼は卓球場の人で、わざわざ私を迎えに来てくれたのであった。

 卓球場はそこから1分もかからないところにあった。ただ、そこは卓球場だけでなく、フットサル、テニス、バトミントン、そしてビリヤードなどもできる複合施設となっていた。

・ 宿から卓球場が入っている複合施設までは約1.1qほど

・ 複合施設の入り口の少し手前の道路に立っている看板

■ 異国の地での初卓球 ■

 さて、その私を迎えに来てくれた男性に導かれて卓球場に入ると、すでに4〜5人ほどの人たちがプレーをしていて、ラケットでボールを打つ時の軽く乾いた音が場内に響き、ときどき歓声が聞こえてきた。卓球台は全部で6台ほどで、2台ずつブルーの仕切りで区切られていた。ただ、奥の2台だけは台の傍らに卓球マシンやボールガードネットがあったので、おそらくプライベートレッスンをするための空間だと思われた。

 私はホーさんという1人の男性を紹介され、「彼とプレーをしてくれ」と言われたので、早速、デイパックからラケットを取り出した。もちろん、シューズも用意していたのだが、シューズを履き替えるかどうかは本人任せのようだったので、「別にいいかっ」という感じでそのまま普段履きで行った。(普段履きにしているシューズもフィットネスで使えなくなったものを履いてた)

 ホーさんだが、年齢は53歳と言っていた。卓球の実力はもう彼の方が格段に上で、ゲーム形式での練習は行わず、フォアハンドやバックハンドなどの基本的な打ち方が中心で「私の練習相手になってくれた」というのが正直なところであった。

 途中で水分補給をしながら多少休憩なども取ったが、それでも1時間も行うと、エアコンなどの設備は全く備わっていなかったので(卓球の場合、扇風機なども球の飛び方に影響を与えるのでなかなか使いづらい)全身汗でびっしょりになり、用意したフェイシャルタオルで汗を拭っていたのだが、乾いている部分がないほど汗で重くなってしまった。

 それから20分も続けただろうか、私の様子を見たホーさんが「今日はこのくらいにしておきましょうか?」と声をかけてくれたので、「助かった!」とばかりに「Yes」と答えた。そして「じゃあ、明日、4時半に」と彼と約束をして卓球場を後にした。

 料金の方は、日本円にして1,200円近く取られ「ちょっと高いな〜」とは思ったが、もう他に選択肢はないと思ったので、素直に支払った次第である。卓球場を出ると、フットサルのコートでゲームを行っていたので、自分のクールダウンもかねてしばらくコート横のベンチに座ってゲームを眺めていた。 

 20分も眺めていただろうか、身体から滴り落ちる汗もかなり収まってきたので帰路に着いた次第である。最初は、卓球を終えたらCalifornia Fitness & Yogaに向かう予定だったが、ホテルに到着するととてもではないがそのようなエネルギーは残っていなかった。

 

■ 申し訳ないとは思ったが… ■

 さて、翌日、約束した時間に向かうと「ホーさんは30分ほど遅れる」と言われてしまった。30分だと宿に戻るわけにもいかないし、近くに時間をつぶせるようなカフェもありそうにもなかったので、そのまま卓球場内で待つことにした。

 ただ、ちょうど奥の台を使って、昨日スクーターで迎えに来てくれた卓球場の責任者の男性がプライベートレッスンを行っていたので少し見学させてもらことにした。そして、そのレッスンの合間合間に、コーチである責任者の男性と少し会話をする機会があった。直接、本人から名前を聞いてはいないのだが、施設の手前に立てられた看板には「 Tiên 」と書いてあったので「ティエン」さんだと思われる。

 年齢の方は43歳で、「オレは卓球も教えているが、カンフーのマスターでもあるのでカンフーも教えているんだ」と言っていた。実は、卓球場に入る手前はちょっとしたトレーニングスペースになっていて、刀剣や槍、そして、よくジャッキーチェンなどが映画で使って練習しているような棒が何本か付いたサンドバッグのようなものがあったので、「一体ここは何をする場所なんだろう?」とは思っていた。しかし、彼の口から出た「カンフーも教えている」というのを聞いて合点がいったわけである。

 さて、プライベートレッスンを受けていたのはけっこう年齢のいってそうな男性であった。ティエンさんは「彼は64歳なのだが、毎日2時間のレッスンをしている」とのことであった。もう、シルバーと呼ばれる年齢だが、毎日2時間もやっているのには敬服させられる。もちろん、プライベートレッスンだけではなく、その後は、毎日のように集まってくる気の合った仲間とプレーをすることになる。

 ほどなくホーさんが「送れて、申し訳ない」とやってきたので、昨日の要領でやり始めた。30分もたったころだろうか、ホーさんが周りでやっている人たちを少し気にし始めたのである。そして、私に「ちょっと他の人とやってもいいかい?」と言ってきたので「もちろん。OKだよ。」と答え、私はベンチで休んで2人がやっているところを見学した。

 この卓球場に来ている人たちだが、若い人で30代くらい、そして上は60代後半くらいの人もいた。みんな毎日のように来ている人たちで実力は私よりもずっと上であった。そして、ゲーム形式で行って「勝った/負けた」と時には歓声を上げて行うのが彼らの楽しみである。

 よって、私のように基本的な打ち方ばかり続けていれば「ちょっと飽きちゃうよな〜」となるのは当然のこと。それは、ホーさんとやっていてヒシヒシと伝わってくる。ベンチでしばらく2人のゲームを見ていると、気を使ってくれたのか「オレとやろう!」と別の男性が声をかけてくれ、結局、2日目はホーさん以外に3人に相手をしてもらうこととなり、卓球場を後にした。

 その日、宿に戻ってから「少し迷惑をかけているかな〜」と思い始め「明日はどうしようかな〜」という気持ちになってしまった。それで、申し訳ないとは思ったが、結論として卓球を行ったのはその2日間だけだった。本来なら、相手をしてくれたホーさんには直接伝えなければならなかったのだろうが、「私が行かなかったとしても他にやる人はいくらでもいるし…」ということでバックレてしまったわけである。素直に謝ります「ごめんなさ〜い」。でも、2日間だけだったがいい思い出を作ることができた。

・ 卓球場の内部

 夕方、卓球を楽しむ人たち。一番奥にいるのが私の相手をしてくれたホー氏