四方山話

インドシナ半島フィットネス紀行/日記 - プロローグ

 

「 卓 球 (その6)」


 プライベートレッスンのコーチは、おそらく30歳前後と思われる男性であった。身長は168pから170pくらのやせ型の、まあ、一般的には「華奢」呼ばれる体形であった。個人的には、卓球の試合はオリンピックのメダルがかかるような試合を除いては見る機会はないが、代表となるような選手はみんなどちらかというと「細身」の選手が多いので、私のレッスンを担当してくれるコーチを見たときに「この人で大丈夫だろうか?」という印象は受けなかった。

 レッスンに関してはここではあまり詳しく書かないが、まず1回目を受けた後の第一印象は「上手い人とやると自分も少しうまくなったような気になる」ということである。どういうことかというと、ちょっとくらいこっちが返す球がそれても、それを受けてくれている相手がうまいのでしっかり帰ってくるので何となくうまくなったような気がしてきてしまう。

 後はどのようなスポーツでもそうだと思うのだが、まず無駄な力を抜くことが重要だということを再認識させられた。ここ何年も新しいスポーツには挑戦していなく、普段行う動作も完全に固定化されていたため動作に慣れないため「力が入ってしまう」という感覚を忘れていた。まあ、それはそれで悪いことではないのだが、卓球という新たなスポーツを始めたことによって、力を抜くことの大切さを改めて実感した次第である。

 力を入れてしまうとろくな結果にはならない。動作もぎこちなくなるし、動作の正確性もかけてしまう。あらゆるスポーツについて言えることかもしれない。もちろん力を抜きっぱなしでも完成された動作にはならない。ここぞという時に瞬発的な力が入れられれば理想的である。まあ、なかなか「言うは易し」ではあが…。

 さて、そのプライベートレッスンを2回ほど受けて毎週土曜日の「卓球の時間」に参加した時のことである。相手をしてもらった人から「なんか急にうまくなっちゃいましたね!」とお褒めの言葉をいただいた。「あれ〜、どこで隠れて練習しているんですか?」と聞かれたが、笑って「いや〜、別に練習なんて…」とごまかしてしまった。

 そして、プライベートレッスンも1ヶ月を過ぎるとみんなから「なんか別人になりましたよ!」と言われるまでになった。まあ、それだけ始めたときはヘタッピだったということなのだが、自分なりに「ちょっと慣れてきたかな…」という実感はあった。 動作に慣れてくれば自然と無駄な力は入らなくなるものである。