四方山話

インドシナ半島フィットネス紀行/日記 - プロローグ

 

「 旅行保険(その1) 」


 海外旅行の時に忘れてはならないのが「旅行保険」である。私の記憶違いでなければ、海外旅行時には必ず入っていっているはずである。「もったいない」と思う人もいるかもしれないが、はやり海外では何があるかわからない。もし、事故や病気で手術でもしようものならとてつもない費用がかかってしまう。

 まあ、旅の予算は人それぞれなので何とも言えないが、旅行保険に入ったからと言って「食事の回数を減らそう」とはならないだろうから、「万が一」のときのために是非入っておきたい。旅行保険に詳しいわけではないので断言はできないが、おそらく「旅行保険」の名の付く保険は「掛け捨て」タイプになるはず。よって、何事もなく無事に帰国すれば掛けた保険料は戻ってこないわけだが、私は、一度だけ「入っていて良かった!」ということがあった。

 それはタヒチに行った時のことである。一番大きなタヒチ島ではなく少し離れた島(もう名前は忘れてしまった)を訪れたとき、泊まっていた宿のオーナーであるおばさんが「今晩、タヒチアンダンスの大会があるので見に行かないか?」と誘ってくれたので「喜んで!」という感じでついていった。常夏のタヒチなので昼間は暑かったのだが、その夜は強風が吹いていて少し肌寒く、鳥肌を立てながらダンスを見学することとなった。

 そして、翌日は午前中からスクーバダイビングを予定していて、「ちょっと風邪気味かな〜」と思いながらも潜ったのだが、水中でも寒さで身体が震えるほどであった。それでも、何とか午前中に1本、そして午後に1本と2本ほど潜って夕方に宿に戻ったわけだが、その時には身体がダルくて仕方がなく、夕食も取らずに床に着いた。

 翌日にはさらに体調が悪化し、立っていられないほどで1日中ベッドで過ごさなければならなかった。心配した宿のおばさんは島にある小さなクリニックの医師を呼んでくれたのだが、「とにかくクリニックに連れて行こう」ということになり車でクリニックに向かったわけである。おそらく5分から10分ほどでクリニックに到着したのともうのだが、私は車から降りた途端にクリニックの周りに植えられた生垣にたまらず嘔吐してしまう始末。

 何回か吐くと落ち着いたので、クリニックの中に入り診察室のベッドで横になってのだが、意識ももうろうとしていたのでどのような処置をしてもらったかなど一切覚えていない。しばらく横になっても体調が一向に回復しない私を見て、その医師の口から出た言葉が「ここではこれ以上のことはできないのでタヒチ島に連れて行こう!」であった。